遠い君と、もう一度恋を。
その瞬間…
「やめてっ!!」
俺の大好きな、綺麗な声が俺を止めた。
冷静になった俺は拳に込めていた力を抜いた。
「なに?逢莉は俺の味方?」
ニヤニヤしながら勝ち誇ったかのように笑うそいつ。
俺は再びムカついたが、さっきの逢莉の声を思い出して、イライラを抑えた。
「違うよっ!!あたしはケンカなんかしてほしくないだけっ!!」
逢莉がそう言ったと同時に聞こえたのはどこか懐かしい声。
「おーい!!何事だー?」
騒ぎを聞き付けた逢莉の学校の先生が様子を見にきたらしい。
姿を現したその人は俺が東京の学校にいた時の担任だった。
「先生…」
俺が小さく呟いくと先生も俺に気付いたらしい。
「え!?成海!?うわ~懐かしいなっ!!…ってそんなことより…お前ら、ケンカしてたのか?ケンカはダメだぞっ!!」
俺は先生に「すいませんでした…」と頭を下げて逢莉のもとへ駆け寄った。