恋の仕方



その瞬間女が私に気が付いた。


ヤバイ!見てたのバレたかな。
逃げないと、

そう思って歩き始めたとき

「ねー成司。チューしよ」


その言葉に足が凍った。

「…は?」

「だって、会うのも久しぶりでしょ?一回でいいの。そしたら、帰ってあげるよ?」


やめてやめてやめて
嫌だ嫌だ嫌だ。

逃げ出したかった
けど、足が動かないよ。


「………。わかったよ。」

彼の低い声が聞こえた。
そのあとに、

「チュッ」

甘い音が聞こえた。



「あのカップル駅でキスなんてラブラブだね〜。」

すれ違う人達が話している。


2人がキスをした。
付き合ってるんだもん当たり前。


でもね、涙が出るの。
大好きだから…


「あれー桜じゃん。」


女が言った。



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