空耳此方-ソラミミコナタ-

歩きながら、改めて地図を広げる三人。


「さて、と。恵ちゃんのおじいちゃんはどっこでしょねー」

「……

祖父はあのホテルにはいないと思う。レジャーだなんだが大好きで、キャンプの一式は持参してる。だから――」


恵は、地図の一点をそっと指差した。


炯斗はマジかよ…と顔をしかめ、言乃はハッと息を飲んだ。




細い指が差す先はたった二つしかない赤い印。




「――洞窟地帯。ここだと……いえ、かなりの確信をもって……ここ」




「危険」が浮かぶ海岸線の一帯だった。


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