空耳此方-ソラミミコナタ-
「んな……嘘だろ!?」
絞り出すように炯斗が言うが、恵は首を振る。
「レジャー大好きだし……凝り性だから」
「凝り性ってレベルじゃねーだろ!!命の危険あんぞ!」
「………さあ?」
「考えてぇっ!」
匙を投げる唯一の頼みの綱・恵にすがりつく。
だが彼女は肩をすくめるだけ。
他に一切の手がかりはないのだ。
行くしか道は…
【とりあえず行けるところまで行ってみましょう】
「そうだね。危ないなら引き返せばいいし」
方向性はあっさり決まり、地面に炯斗は項垂れ潤んだ目に。
なんだろうこの頼もしい女子たちは。
え だって危険だよ?危険なんだよ?ケガしたらどうするの?俺絶対におばあちゃんの拳骨確定じゃん。あれ地味に痛いんだぜ?
ねえ、だから――
「ちょっと待ってぇぇー!俺置いてかないでッ!!」