空耳此方-ソラミミコナタ-
そうしてたどり着いた岸辺。
砂浜を進むと、地面の砂に少しずつ石が混ざりこみ砂利になり、景色が変わってきた。
先にはゴツゴツとした崖が立ち並び、海水が浸食したであろう不規則な岩場があった。
海水が飛沫を上げて行く先を見てみれば、小さな割れ目から人一人入れそうな穴まで大小様々な穴が崖に存在していた。
「はぁ…スゲーな…」
【足場悪いですね。気をつけて下さい】
言乃の言うように、三人が立つ10Mほど先から水の浸食が激しく、飛び石のようになっている。
「こんなところに本当にいんの?」
「…多分」
恵はスゥーッと大きく息を吸った。
「おじいちゃん!透さん!どこ?!迎えに来たよ!」
辺りに静けさが戻る。
――その時
ガタンッ、と何か倒れるような音がした。