空耳此方-ソラミミコナタ-
少しして二人も体をテーブルに戻し、腹の虫をおさめに入った。
スプーンを忙しなく口に運びながら炯斗はまたメモを一瞥する。
「でもさ…何で最後だけアルファベットなんだろうな……しかも三文字」
恵が手を止めて首をかしげた。
「三文字がどうかしたの?」
炯斗はスプーンを握りしめる。
心なしか、頬も紅潮しているようにも見える。
そして力いっぱいに言った。
「だって――」
「だってAKPとかあの辺のアイドルグループみたいじゃねーか!」
「……」
「あーハイハイ、そーですね」
流し方酷い…とうつむく炯斗を無視し二人の食事は進んだ。
「やあ、何だか楽しそうだねぇ」
三人の頭上から一つの声。
顔を上げ振り向くと、白髪の男性が一人。
「あなたは…?」