空耳此方-ソラミミコナタ-

「なんだアイツなんだアイツ…あああ俺汚れたぁ〜」

ガタガタ震える炯斗。
大丈夫?と二人は炯斗を心配そうに見つめた。

当の克己は壁のあちこちをさすり、丹念に調べている。


「縦が1m21,2㎝…で、横が……1m33,3㎝か…」

「この平らな範囲の大きさが関係あるんですか?」

「待て恵ちゃん!むやみに近寄るな!」

恵は少しムッと炯斗を睨み付け、克己に直る。
克己は先程の行いを思い出して苦笑した。


「ゴメンよ、君。…そうだね……大きさにヒントがあると思ったんだけど、数字が揃わないからこれもダメなようだね。となると…何なんだ……?」


瞑想に入りかける克己を言乃が引き止めた。

【あの、何故大きさだとお思いになったのでしょう?】

克己はちょっと面食らった顔をしたが、すぐに笑顔で答えた。


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