空耳此方-ソラミミコナタ-
「え!宇佐目先輩、ここってまさか―」
「メイドカフェに決まってるだろ!」
今さら気づいたの?とパフェを頬張り炯斗を見てくる宇佐目。
炯斗は脱力した。
豊満な体。
黒縁の大きな眼鏡。
安いワイシャツにハチマキ、リュック。
改めて宇佐目を見て、パフェをつつく炯斗は何気なく言った。
「宇佐目さんてヲタ芸とか劇場に行ってアイドルの名前叫んでたりしそうッスね」
宇佐目はスプーンを止め、炯斗をしっかり見つめる。
そして無駄に胸を張って言った。
「何を言ってる!毎週欠かさず行くし、そんなの出来て当たり前じゃないか!」