空耳此方-ソラミミコナタ-
その沈黙を楽しむように、克己はフッと微笑んだ。
「僕はね、この島を“宝島”と呼んでいる。ここには……宝と言えるような思い出が沢山あるんだ」
克己は壁を背もたれに腰掛けた。
ランプを中心に囲むように三人も座る。
それをにこやかに確認すると、克己は遠く天井を透かして思いを馳せる。
「子供の時によくやるだろう?仲間で秘密基地を作るって遊び。……今じゃもうやらないかな?どう、君?」
「やりますやります!山の中に枝と段ボール集めてバリバリやってたッス」
炯斗が身を乗り出して言うと、二人の目が合った。
懐かしいなぁ…といいながら笑う大きな男児。
何か通じ合うものがあったようだ。
そういう遊びをやって来なかった恵と言乃は分からないという顔で見合せ肩をすくめた。
「そんな遊びをして基地を作って…そこに皆で刻んだんだ。皆の秘密の場所に、仲間の証をね…」
「それが……TKR…」