空耳此方-ソラミミコナタ-
恵はぽかんと口を開けた。


言乃ちゃんが喋った!!



信じられない。
ってか喋れないはずじゃ…!?


「な、何で!!??」

言乃はえへへと誇らしげに笑った。

「…ちょっとだけいじりました」

「何を!?」

「この部屋に結界を張って、霊気の濃度を上げたんです」

恵は笑顔のまま固まった。

意味が分からない。
っていうか発言がイタい。
突っ込むべきなの…?


それがわかったのか言乃は若干ムッとした顔を向けた。

「本当ですよ?恵ちゃんのお宅でもお見せしましたよね?」

「あ、ああ…そういえばそうだねっ!」


本当に?と言いたげな視線を向けられギクリとした。

「普通の人に霊が見える時っていうのは、霊気が濃い時か幽霊の力が強まっている時なんです。それと同じような状況をここにも作り出したんですよ」

「なるほどなるほど、それで私も喋れる訳ね」


あ、納得してしまった。


「この部屋にいれば、私と会話出来ます。……その方が楽じゃないですか」

「―!」

言乃は柔らかに微笑んだ。

…ありがとう…言乃ちゃん


「ねぇ、あのさ」

「はい?」

「炯斗くん見たいに私もことのんって呼んでもいい?」

「……」

「ダメ?」

「いいですよ」

「やったー!!ことのんと友達だぁー!」


二人は顔を見合せて笑いあった。


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