空耳此方-ソラミミコナタ-

そのまま手を離されて炯斗は地に転がった。

木の葉にまみれた顔をあげると、屈強なおじさんが炯斗を見下ろしていた。

「何やってんだ!!火の手のど真ん中に突っ込む馬鹿がどこにいる!!」

ここにいましたよ。

おじさんの一喝に炯斗は震え上がった。
そんなことは口が裂けても言うまい。

おじさんの怒鳴りを受けて、炯斗はすごすごと斜面を下った。


「炯斗くん!」

下には二人が待っていた。泥だらけの炯斗の見て目を丸くする。
自分の姿に気づいた炯斗は苦笑して頭をかいた。


「あはは……怒られちまった…」

その時――

「〜^ゝ〜〜」

「!?」

遠くで叫び声が聞こえた。
恵が真っ先に走り出す。二人も恵に続いて走った。

暫く走るとアスファルトにへたりこむ人影が見えた。

「おじいちゃん!!」

恵が金切り声を上げ、人影に駆け寄る。


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