空耳此方-ソラミミコナタ-






『お前今のままだと、今後絶対に事件に巻き込まれるぞ』

炯斗を見下ろす鋭い瞳。
なんだかやけに偉そう真っ黒いチョコが大好きな甘党男。





……




巻き込まれてる。
よくよく考えてみれば事件は2回目だ。


「炯斗くん?」

コーヒーを手にとってから微動だにしない炯斗がさすがに心配になったのか、言乃がおそるおそる声をかける。


「……」


奴の言ったとおりじゃねーか

でも、よく考えてみれば俺は何も悪いことはしてない
自分から事件に巻き込まれようとしたこともない

なのに──


あいつ、占い師にでもなったほうがいいんじゃねーの?



ってか────


「あいつの言ったまんま実現してんのがムカツク!!」


炯斗は大きく振りかぶって、プロ顔負けのフォームで手を振るった。

「あぁ!僕のチョコーヒー!」

高橋の声が響くときにはもう手を離れていた。
コーヒーは空気以外の抵抗を受けず飛んでいく。
伸びたストローからは一滴もこぼれることなく、鮮やかな弧を描いてゴミ箱にホールインワン。



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