空耳此方-ソラミミコナタ-
「あーあ!恵ちゃんとは趣味が合うと思ってたのに」
「なんでいきなりそこに飛ぶの?!」
「恵と炯斗で似たもの同士いけると思ったの!」
「炯斗と恵で名前が似てたからっておかしい!」
「いいだろ!ケイケイコンビ!」
「その名前は絶対に嫌!」
炯斗は大げさに肩をすくめてため息をついた。
なんで俺のつける名前は初め受け入れられないんだ…!
「恵だろうと炯斗だろうと関係ないもん!合わないとこがあって当然じゃない!」
「何!?舘見恵、お前との道はこれで分かたれた!」
「いいよ!!望むところよ日奈山炯――」
その時恵を遮るように言乃が二人の間に入った。
【小学生ですか?】
「……」
その言葉でケンカは一段落ついたようだ。
二人が座ると気まずい沈黙が訪れる。
「じゃあ、終わったことだし君たちちょっといいかい?」
高橋は、朋恵から連絡のあった克己のほうの話を聞きたがっていた。
三人はこの島に来た理由や見つけた経緯など、能力の関係するあたりは伏せて今までのことを正直に語った。
「それで冬沢先輩が透さんをつれて行ったと。ちなみに死因とかはまだわかってない?」
恵が目線を落として小さく首を振る。
「そういうことに関してはそちらのが早いと思います」
「そうだね、あとで上に聞いてみるとしよう」
そういいながら高橋は手帳にどんどんとメモをしている。
果たしてそんなにメモすることがあるのやら、と言乃は感心して高橋のメモを見つめた。