空耳此方-ソラミミコナタ-

炯眼


【炯斗くんと恵ちゃんは色んな人に話を聞いて情報を集めてください】

「おうよ!って」

「ことのんは行かないの?」

二人は怪訝そうに見つめる。
言乃は小さく微笑んで首を振った。

【私は少し気になることがありますから、そっちを調べて見ます】

「何のこと?」

恵は炯斗に囁くが、炯斗も首をひねった。

【克己さんの傍らにいたあの女性の霊。彼女の姿がずっと見えないんです】

「一人で大丈夫?」


言乃はそっと微笑んだ。

【普段は一人ですから、慣れてます】

「……そっか」

「気をつけてね、ことのん」

笑って頷くと言乃は一人席を立ち、エントランスの外に出て行った。



「……」

「恵、どうした?」

「ことのん、いつもあんな感じなの?」

「あんなって?」

恵は言乃のいなくなったエントランスをじっと見つめている。

「何か……一人で何でもやるっていうか、自分だけでいいっていうか…」

炯斗は腕を組んで出会った頃を思い出す。


「え?前は現場検証に連れてかれたけど?」

「その後は?」

「えー……と」

トシオが事故って(違)
ともちーと会って
もういいって言われて…
あれ?

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