空耳此方-ソラミミコナタ-
「厄介払いされたんだ」
「何でわかるんだ!?…あでっ!」
恵は少し背伸びして炯斗の眉間を指で突いた。
「全部炯斗の顔に出てるよ!」
恵は鼻息荒く炯斗を睨んだ。
全然ことのんのこと見てなかったんだな…
炯斗は目線を下げてため息をついた。
「恵、こっちは俺一人で行く。だからさ…」
「もちろん、ことのんを追いかけるよ!」
ニッと笑って拳を握って、言乃の後を走って行った。
わかってなかった俺が言うのもおかしいけど…
ことのんが自分だけでいい?
恵、それはちょっと違うと思うぜ…………多分
後ろでガチャリと聞こえた。
見れば、朋恵と透が部屋から出てきたところのよう。
声をかけて、二人に駆け寄った。
「……話は終わったのか?」
「一先ずは、ね」
透の表情は余り優れない。
気になって炯斗は一番の問題を問うた。
「じいちゃんの容疑は?」
朋恵は透をちらりと見る。
「なんとも。けれど、外れたとは思わない方がいいわ」