空耳此方-ソラミミコナタ-
「……」
「そんなに暗くならない!まだ何もわからないんだから!」
高橋と似たようなことを言う。
クスリと笑うと、ギロリと睨まれた。
思わず笑顔が凍る。流石は氷の女だ。
しかし今はこんなことをしてる場合ではない。
炯斗は氷をひっぺがして朋恵に向きなおった。
「…なぁともちー、昨夜すぐ火事に気付いたみたいだけど、何でだ?」
朋恵はあからさまに眉をひそめた。
「……単刀直入ね。事件は警察の管轄のはずなんだけど」
「それは……」
「素人は手を出さないで欲しいの。まず危険よ」
そんなことはわかっている。
だが、しかし――
ハッと笑う。
「うちのおじいちゃんは犯人じゃありませんってうるさい子がいんだよ」
透がハッと顔を上げる。
炯斗がウィンクすると彼はさっと避ける。
炯斗がブスッとしていると、朋恵の平手が後頭部に飛んだ。
「理由、続き」
「はいはい。
俺たちも信じられないんだよ。じいちゃんがやったとは、さ
それだけ。単純明解だろ?」