空耳此方-ソラミミコナタ-
しかし弁護士と言ったら犯罪を犯すイメージとは程遠い。

何よりともちーの友達!
下手すりゃともちー自身にパクられるし、現役の刑事の目の前で――

と、考えたところで思い出す。



二人は夜のガールズトークに花を咲かせてたじゃないかッ!!



「なあ郁美さん、昨夜ともちーとどんなガールズトークを――ぐぬっ!」

「まだ言うか!黙ってなさいよあんた!」

「で、そのことを羽田さんに話そうと思うんだけど、何処にいるか知らない?」

「………どこも会話が成立しておらんぞお前ら」

透は近くのソファに腰掛け自分の行く先に思いを偲ばせた。
と、その透を覗き込んで―


「大丈夫ですか? 目虚ろだよ?」



郁美がニッコリと笑うと。透は飛び上がった。

「なな何だいきなり! おどかすな!」

その声で思い出したように朋恵が炯斗の脇から顔を出す。

「あ、そうそう舘見さん。一応警察の管理下にいていただきたいので、ここに泊まって頂きます。早めに荷物を持ってきて置いて下さい」

「……わかった」

透はふん、と荒く鼻息を立ててから大股で出ていった。



「郁美」

「何?」

「ご老人をおどかさない」

「ププ、じいちゃん耳真っ赤だったぜ」


いたずらっ子を二人押し付けられたようで、朋恵は一人顔をしかめた。


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