空耳此方-ソラミミコナタ-
「すいません。それいらないんですか?」

甘党が炯斗に尋ねた。

「え?あ、はい。
あ、ホラ、あれッスよ。甘いもんのお供はやっぱ苦い方がいーじゃないッスか」

今は余計に甘いのが嫌なだけだけども。

「そうですか?俺はそうは思わないけどな」

堂々と言う甘党男。
炯斗は甘党男のトレーをチラッと見た。
そして納得し―

「あー、チョコづくしッスねぇ…」

「まあそうですね。甘い物好きだから」

若干頬を緩める甘党男。とうとう甘口づくしに飽きてきた炯斗は素っ気なく言う。

「大丈夫なんスか?こんなに糖分いっぱいで」
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