空耳此方-ソラミミコナタ-
「だから……『言ノ葉』」
【はい】
「でも、俺の名前は――」
【『炯眼-ケイガン-』という言葉をご存知ですか?】
炯斗と恵は画面を見つめ、目が点になる。
言乃はちょっと笑って文字を打つ。
【私も知りませんでした。ケイトくんの名前を見て、調べて知ったんです】
「なんつう面倒なことを…」
若干呆れたような目を向けると、少し嬉しそうに頬を染めた。
【炯眼とは、きらきらと光る眼。洞察力のすぐれていること、という意味があります】
「前半はまだしも、後半は炯斗には似合わないね」
「言うなし。かっこいいだろ?」
「炯眼はね」
「おま――」
【私が思うに】
二人の間に割り込む。
話聞く気ありますか?という非難の目に、思わず黙りこんだ。
【後半こそが、能力の由来だと思っています】
「………」
【どうでしょうか?】
炯斗の顔色を伺う。
その彼の背中を恵はポンと叩く。
「良いと思うよ? 私は」
「まあ……出てきたからには、付き合っていくしかないんだろうな…」
そして、炯斗は明るく顔を上げた。
「それがそうなら、うまくやってくだけさ。この……なんていったっけ…炯眼とさ」
「そうだよ! それに今のところすごいものを見つけてるんだから、自信持とうよ!」
「おう!」