空耳此方-ソラミミコナタ-
捜査を
手帳の管理をしていた時、不意に胸ポケットが震えた。
その正体である携帯を取り出し、ディスプレイを見る。
……知らない番号だ。
しかし怪しむことなく電話をとった。
相手の見当はついている。
『もしもし、高橋さんか?』
「うん、日奈山くんだよね?」
『ああ。あのさ、昨日克己さんの体を縛ってたヒモがあるはずだって言ってたろ?』
何故今そんなことを聞くのだろうか。
高橋は慌てて手帳の余白ページを探した。
『俺たち、見つけたかもしんない!』
「……なんだって!?」
受話器を穴のあく程見つめた。
手からポロリとペンが落ちる。
まさか――鑑識が今、島中を探しているのに?
「そそ、それ何処!?」
高橋はペンを拾い上げ、場所をメモする。
「ロープウェイのレール……? それはまた変なところにあったな…どうりでなかなか見つからない筈だよ」
そういうと、受話器の反対側で照れたような笑いが聞こえた。
「ありがとう、お手柄だよ」