空耳此方-ソラミミコナタ-
さ、早く来ないっかなー
少しすると、人の中に紛れ彼女は現れた。
ベンチで待つ炯斗の姿をみとめると小走りになってやってきた。
【ごめんなさい、お待たせしました】
「うんにゃ、大丈夫!」
言乃は昨日と同じように携帯の画面を炯斗に見せる。
【昨日は大丈夫でしたか?】
「全然!俺の方こそごめんね?声かけていきなり帰ってさ。
それより…何なの、ソレ」
炯斗は言乃の携帯を指差す。
言乃は決まりが悪そうに視線を外し、画面だけを炯斗に見せる。