空耳此方-ソラミミコナタ-
【ごめんなさい、不快ですよね。
私、生まれつき声帯が上手く機能しなくて声が出ないんです。
普段は手話で会話するんですけど手話、わかりませんよね?】
マジかー!!
炯斗は驚きのあまり言乃を凝視する。
言乃は小さな画面を盾にするように掲げ、様子を伺う。
【あの】
言乃が次を打とうとする手を炯斗がとる。
そしてニカッと笑って言った。
「大丈夫!俺そんなん気にしないから、さ。
それに同い年なんだからもっとくだけていいぜ? 敬語なんて固い固い!」