空耳此方-ソラミミコナタ-
背景
しばらくベッドに横たわった炯斗は、顔をバシッと叩いて起き上がった。
携帯を持ち上げ、言乃に連絡を入れる。
今日はもう、二人の部屋には行かないつもりだ。恵は言乃に任せる。
その旨をメールし、返事を待たずに携帯をベッドに放った。
日記と手紙、それから部屋の鍵。
荷物はそれだけでいい。
「あら、あんた」
ドアを開けると丁度朋恵がいた。
「おう、ともちー。今帰ったの?」
「ええ」
髪を掻きあげる朋恵は、ひどく疲れた顔をしている。
「……何かあった?」
「ちょっと大嫌いな奴に協力を仰いだのよ……あああ、ムカつく…」
「そんなに嫌いなら関わらなきゃいいんじゃねーの?」
言った瞬間、炯斗にメドゥーサの視線が突き刺さる。
イライラと髪を掻き上げると、最高に低い声で朋恵は呟いた。
「……情報集めろって頼んだのはどこの誰よ……!」
「はいっ!! ごめんなさい、俺です! 馬鹿な俺です!!」
大きく舌打ちすると、最後にもう一度炯斗を睨み、朋恵は歩き出した。
その姿が見えなくなって、青い顔で炯斗は呟いた。
「こ、こえぇ……」
携帯を持ち上げ、言乃に連絡を入れる。
今日はもう、二人の部屋には行かないつもりだ。恵は言乃に任せる。
その旨をメールし、返事を待たずに携帯をベッドに放った。
日記と手紙、それから部屋の鍵。
荷物はそれだけでいい。
「あら、あんた」
ドアを開けると丁度朋恵がいた。
「おう、ともちー。今帰ったの?」
「ええ」
髪を掻きあげる朋恵は、ひどく疲れた顔をしている。
「……何かあった?」
「ちょっと大嫌いな奴に協力を仰いだのよ……あああ、ムカつく…」
「そんなに嫌いなら関わらなきゃいいんじゃねーの?」
言った瞬間、炯斗にメドゥーサの視線が突き刺さる。
イライラと髪を掻き上げると、最高に低い声で朋恵は呟いた。
「……情報集めろって頼んだのはどこの誰よ……!」
「はいっ!! ごめんなさい、俺です! 馬鹿な俺です!!」
大きく舌打ちすると、最後にもう一度炯斗を睨み、朋恵は歩き出した。
その姿が見えなくなって、青い顔で炯斗は呟いた。
「こ、こえぇ……」