空耳此方-ソラミミコナタ-
「私が馬鹿だった……やはり、一度でもちゃんとお前と話すべきだったのだ……済まない……済まないなぁ…克己よぉ…」
押し殺した声。
時を越えた悔恨が蘇り、透は頭を抱えて泣いていた。
「あのさ、じいちゃん」
透が落ち着いてきた頃、ぼんやりと炯斗は尋ねる。
「……あんた18歳で何やってんのさ。盛ん過ぎるだろ」
「っ!!」
透はギョッとして、みるみる顔が赤くなる。
炯斗は頬杖をついて、わざとらしく呆れて見せた。
「好きなのは別にわかるけどいきなり夜這いって……」
「五月蝿い!! 黙らんか!!」
「だってさ、そこはじいちゃんにも非があるっしょ」
「っ……!」
透は、真っ赤な顔を引きつらせ炯斗を睨んだ。
炯斗はニヤニヤとしたまま透をものともしない。
やがて、透は大きくため息を吐き出し、少しずつ語った。