空耳此方-ソラミミコナタ-
「――っていう訳で、玲子さんは亡くなり、克己さんは島を取ったんだって」
「……なるほど」
炯斗を介したせいか、思ったほど言乃は驚きを見せなかった。
「…後半はまだいいとして、お若い頃の話は恵ちゃんには……言いづらいです、ね…」
「だろ? もう俺どうしよーかと」
炯斗がお手上げのポーズで体をベッドに傾ける。
「でも、この島を手に入れた克己さんはその後どうしたのでしょうか? ここにはゴミ処理場なんてありませんよね?」
「あれ、恵ちゃんに対する俺の苦悩はスルーなの?」
「つまり、島には手を出してない。…でもそれでは普通、苦情がくるものですよね」
「スルーか。何か久しぶりな気がする」
しかし言乃は足の爪先に落としたまま視線を動かさない。
「それにしても、おかしいですよね……」
返事がない。
言乃がふと見ると、炯斗はベッドに横になっていた。
「もう、聞いてますか!? ちゃんと考えてください!」
「えっ! あれ独り言じゃなかったの!?」
どうやら、炯斗にも事実を把握出来るように喋ってくれていたらしい。
炯斗はあわてて体を起こし腕を組むと、考えてるように見せた。