空耳此方-ソラミミコナタ-
「んなこと言われてもわっかんねーよ…」
手に入れた土地をどうするかなんて、この島の人間でもない限り……
「って、いるじゃん手がかり!!」
「炯斗くん、手がかりはあるっていうものですよ?」
「そうじゃなくて!! 島のこと知ってる人いるじゃん!」
はい?といった顔で言乃は首を傾げた。
その鼻先に興奮した指先を突きつけ、炯斗は顔を輝かせた。
「羽田さん!! ここのオーナーだぜ? 島のことを知ってるの確実だろ!?」
「そういえば、この島にも再開発の計画が上ったことがあると言ってましたね!」
「え、あれ? そうだったっけ?」
明後日を向く炯斗を差し置いて、今度は言乃が立ち上がって言った。
「そうですよ! おそらく関係があると思います!」
「んじゃ、話を聞きに行こうぜ!」
「いえ」
立ち上がった炯斗を言乃は小さく諫める。
「えぇ?」
「今日はもう遅くです。明日にしましょう。それに――」
言乃は、隣の部屋を隔てる壁に視線を流した。
その先には、恵がいる。
「りょーかい。朝メシ食ったら、行動開始な」
「はい」