空耳此方-ソラミミコナタ-

「これからどうする?」

アズサの話を聞き終えて、三人は昼食に降りて来ていた。
聞いた炯斗に、言乃が携帯を寄越す。

【本来の目的を果たしますか?】

「本来の目的って?」

【ミカンです】

得意げに翳す文字を見て、二人はズルッと転けた。

「それは本来の目的でもなんでもなくてことのんの出任せでしょ……」

呆れる恵をパチクリした目で言乃は見つめた。

「とにかく、まとめようぜ」

慌てて指針を戻した炯斗が、咳払いをして言った。


アズサの話から得た収穫は

・アズサは玲子に毒を運ぶ料理を作ったこと
・しかしそれは意図的ではないこと
・玲子は離れてなお克己や透のこと(と思う)を気にしていたこと
・玲子は暗号のところへ足繁く通っていたこと

幸い、玲子は思った以上に外へ出る性格だったようだ。

「じゃあ、聞き込みすれば何かわかるよね!」

「多分な。ここの人、産まれてからずっと住んでまっせって人多いしな」

「よし!! 聞き込み行こう!」

【ついでにミカンも】


「「それはいい!」」

天然なのか愉快犯なのか。
いずれにせよ、炯斗と恵は大きくため息をついた。

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