空耳此方-ソラミミコナタ-
トンネル入口の両脇には急な階段があり、道から一段上の住宅に繋がっている。
何でこんな住宅地に…?
炯斗は言乃の背中を訝しげに見つめ、彼もまたトンネルに足を踏み入れた。
最近の電力不足のせいでいくつか電灯が消えてはいるが、比較的新しく、きれいなトンネルである。
言乃は、トンネルを出たところに立ち尽くしていた。
炯斗は最後小走りになって言乃の横にならぼうとして、
「わぷっ!眩し!」
と目元に手をかざした。