空耳此方-ソラミミコナタ-
「わかったらメールしてくれるってよ」
「そっか。よかったね、いい人で」
「ともちーの親父さんだし。当然だろな」
炯斗は携帯をしまい、二人をみた。
「さて?」
「じゃあ、聞き込み行ってみよう!!」
少しずつ、光が見えてきた。
今日の空は生憎の曇りだが、その先の太陽をしっかりと見据え、三人は花守荘を出た。
あては透が一時期お世話になった大場しかない。
そこに向かう道中でだんだん恵の口数は減り、二重がどんどんくっきりとしていった。
どうした、と聞いても首を振るばかりで、ますます炯斗と言乃は困惑顔で見合せた。
そして、その訳はすぐにわかることになった。
「あらあらあんたたちまた来たの? あっちは入っちゃいけないよ。まったく最近の子供ったら人の言うことを聞きやしないでバカやって警察のお世話になるんだよ。ちゃんとしとけばなんてこともないのにね。あら突っ立ってないで玄関のとこまでしかダメだけどお上がりな。中は今掃除しててね。この時期の掃除は水が冷たくて容易じゃないよもう」