空耳此方-ソラミミコナタ-


トンネル出てすぐに信号があり、道なりに直進する道がある他に左手に細い道が2本、右手に1本伸びている。

「ここって…」

【見ての通りの五叉路です。】

「それは分かるよ?流石に」

【そうですか】

炯斗は若干困る。

言乃自身は多分そのつもりはないのだろうが、絵文字も顔文字もないただの活字は、どこまでも冷たいものである。

言乃は左手の奥の道まで進み、その側のガードレールにかがみこんだ。

彼女の視線の先には、小さなビンに入った花。


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