空耳此方-ソラミミコナタ-

メールはかなりの長文だ。
細かく書くのが面倒で一気にコピーしたのだろう。

だが、よく見ると所々に狸翠の解説が入っている。


かいつまんで説明するとこうだ。


克己の会社で、彼の元秘書が会社の金を横領した。
犯行に及んだのは二人。
飯塚 守(いいつか まもる)と高山 旭(たかやま あさひ)

会社から輩出した議員、鹿沢克己の弱味を曝すことを恐れた当時の社長を含む上層部はこれを隠蔽。

しかし不況の影響で会社の資産が底を尽いたことで公表、判明に至った。
飯塚、及び上層部数名は辞職。
飯塚には懲役の判決が下され、後に出所している。

一方で、借金にまみれ飯塚に協力を仰いだとされる高山は、犯行後に行方をくらまし、現在も生死・所在は不明である。


『出所の後も警察の監視は続くし、色々と制限がつくから、飯塚はシロだ。

面白いのは、高山が消えた時期と、頼玲子の事件が起きた時期が重なることだ。
警察もこいつの線を疑ったが証拠も動機もないってんでなくなった。

だが当時の聞き込みによれば、高山と見られる人物が島を出入りしてた。
借金に追われ帰る場所もない。そのまま金が尽きるまで潜伏してるかもな。

俺が調べられるのはこんなもんだ。
じゃあな、頑張れよ。
出来たら朋恵に今度ゆっくり呑まないかって伝えてくれ』


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