空耳此方-ソラミミコナタ-
玲子のと重なる――アズサでないとすれば、やはり怪しいのはこの高山という男。

例えば、飯塚に奪った金の主導権を握られ、その金を理由に、島を手に入れたい会社にとって邪魔な玲子を殺害――。
あり得ない話ではない。

丁寧に写真まで添付されている。
後でアズサに確かめてみよう。

うん。だいたいの情報はありがたいけど――

「伝えてって。いや自分で言えよ! 親子だろお前ら!」

何でわざわざ俺に頼むよ…

そこで炯斗は先ほどの朋恵の態度を思い出す。

明らかに嫌そうにしかめた顔。
電話に出た時の狸翠の反応。

「……難儀な親子……何でともちーは警察官になったんだし」

わざわざ嫌いな人間に会いに行くようなものではないか。

いや、もしかして――

「炯斗! ちょっと来て!!」

炯斗の思考はかき消された。
振り向けば、二人は地べたに座る樋山の横にしゃがみこみ、輝く視線をこちらに向けていた。

「なんだ?」

「凄いの! 凄いことがわかったの!」

興奮気味に言う恵の頬は紅潮している。
半ば首をひねりつつ数歩離れた場所に立って、覗きこんだ。

「なっ…! ……何これ?」


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