空耳此方-ソラミミコナタ-
炯斗にはそれが何だかわからなかった。

樋山の描いたと見られる四角い図と、その周りにガリガリと書かれた計算式が、地面に横たえてある。

そして、その隣に大きく書いてある4の文字。


「何なんだこれ?」

もう一度尋ねる。
樋山はつまらなそうな顔で、メモを差し出す。

「……ここに書いてある長さは、この訳わからん文章と…関係があると……みていいのか?」

メモにはあの暗号を写したもの。
その脇には克己が計っていた長さも添えてある。
縦が1m21,2㎝で、横が1m33,3㎝。


「わかんねえ。けど、多分関係あると見てる」

克己が遺した解読の手がかりだ。
どちらかといえば、関係があって欲しいという思いのが強い。

「…そうか…だが数字が一致しない。それに長さが半端…そこから、普通の単位とは違うと……踏んだ」

何故だか、樋山は腕を組んでもっともらしく言った。


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