空耳此方-ソラミミコナタ-

「単位が違う?」

「……そうだ。昔の日本の単位とは…センチメートルに当てはめると…かなり半端だ」

ああ、とそこで炯斗は得心した。

「寸は……3.03センチメートル……尺は…その10倍…」

「ほうほう。そんで?」

「…後は……………面倒だ」

「始めたなら最後まで説明しろぃ!! んな嫌そうな目で見たって無駄だかんな!!」

女子は呆れて頭を振り、樋山はため息をつく。

「…簡単な計算だ………センチメートルから、寸や尺に換算したらいい…」

それでこの計算式が殴り書きされてるのか。
となれば炯斗が計算せずとも答えは目の前にある。


「4…か!」

「違う……4尺と4尺4寸だ」

「細けえな!! だったらそこまで書いとけ!!」

「そこから…4という数字が導き出される訳だ」

「もうわかるわ!! 面倒つって省くならここだろおい!!」

炯斗の息が荒い。
なんだか無駄に体力を使わされた気がするのは気のせいではない、絶対に。

「ねぇ、ここまで出てきたらもう解けるんじゃない?」

期待のこもった目で恵はみんなの顔を見た。

「……いや」


< 327 / 374 >

この作品をシェア

pagetop