空耳此方-ソラミミコナタ-
「単位が違う?」
「……そうだ。昔の日本の単位とは…センチメートルに当てはめると…かなり半端だ」
ああ、とそこで炯斗は得心した。
「寸は……3.03センチメートル……尺は…その10倍…」
「ほうほう。そんで?」
「…後は……………面倒だ」
「始めたなら最後まで説明しろぃ!! んな嫌そうな目で見たって無駄だかんな!!」
女子は呆れて頭を振り、樋山はため息をつく。
「…簡単な計算だ………センチメートルから、寸や尺に換算したらいい…」
それでこの計算式が殴り書きされてるのか。
となれば炯斗が計算せずとも答えは目の前にある。
「4…か!」
「違う……4尺と4尺4寸だ」
「細けえな!! だったらそこまで書いとけ!!」
「そこから…4という数字が導き出される訳だ」
「もうわかるわ!! 面倒つって省くならここだろおい!!」
炯斗の息が荒い。
なんだか無駄に体力を使わされた気がするのは気のせいではない、絶対に。
「ねぇ、ここまで出てきたらもう解けるんじゃない?」
期待のこもった目で恵はみんなの顔を見た。
「……いや」