空耳此方-ソラミミコナタ-

樋山が去って、しばらく沈黙が落ちた。
見晴らしのいい海岸線を落ちていく太陽が、空と同じ紅に染めていく。

言葉もなく見つめていると、何かの鳥が逆光で真っ黒になりながら横切った。

「ねえ…」

彼方から目を離さず、恵の問いに、耳だけを傾ける。

「…犯人、誰なんだろう…」

【島についての闘争が動機だとすれば、島の人のほとんどが当てはまりますよ】

「マジかよ……厄介だな」

【ロープウェイの使用も意外と多くの人が可能だったようですし】

管理人と村長、羽田の元に鍵とマニュアルがあるという話だったはずだ。
「そういや、倉庫の鍵も開いてたな…ホラ、あのゴムを見つけたときさ」

「じゃあ…ダメじゃん。特定できないよ?」

はぁ…とため息をついて三人は地に身を預けた。

が、すぐに炯斗が起き上がる。

「困った時のお巡りさん!! 高橋さんに聞いてみようぜ!」




ということで所変わって花守荘。



高橋を見つけた三人は、すぐさま彼に詰め寄った。


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