空耳此方-ソラミミコナタ-
そして、静かに手を合わせる言乃。
はっとして、炯斗は言乃を見る。
「まさか、事故で…?」
小さく頷く言乃には深い悲しみの表情が刻まれていた。
しばらく拝んだ後、言乃は立ち上がり、炯斗に向き直り、頭を下げる。
【付き合わせてしまってごめんなさい。どうしてもここに来たかったんです】
「でも、何で俺なんか―」
キキィーーッ!!
「ひぃぃァあッ!!」
甲高いブレーキ音
野太く茶色い悲鳴
鈍い衝撃