空耳此方-ソラミミコナタ-
『…あの日の前日に……山菜とか…色々ともらった』


「アニサチンというケイレン性の毒で、全身の筋肉が硬直するみたいです」

「………なるほどな」

炯斗はニヤリと笑った。

「ありがとう、アズサさん」

『……ん。私には、これくらいしか出来ないから…後は、犯人見つけてくれたら、いい』

「あはは…それはムズいかも」

思わず苦笑すると、アズサはちょっと悲しげに眉を下げた。

「ゴメン」

「悪いけど、もう随分前の話だしね」

「……後で警察に報告しておきます。それで何かはわかるかもしれません」

そこで炯斗は大きく咳払いをした。

「見つけるのはムズいけど、犯人に心当たりはある」

「ホント!?」

「ああ。会社の横領事件の犯人、高山旭(たかやまあさひ)だ。……今、行方不明なんだけど、さ」


上がったテンションが急降下する。

空気を悪くしてしまい、ばつが悪そうに笑った。


「それも含めて話すから…ちょっと聞いてくれるか?」


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