空耳此方-ソラミミコナタ-
実はそんなに興味ない、とかなんとか呟いて離れていく。
「暗号の解読にはアナグラム、置換法とかあるって言ってたよね?」
「なぁ、そのアナグマって何なんだ?」
「アナグラムです。並び替えのことですよ」
なんだ最初からそう言えよ、と炯斗は文句を言う。
「文章を並び替えて別の意味にしたりするんだよね」
「はい」
「へぇー…」
「またも意外と興味なさそうだね」
「だってさぁ…」
炯斗はぐしゃぐしゃになった暗号のメモを広げて、恵の鼻先に突きつける。
紙には『ひこあしほ――』と意味深長な文字が並ぶ。
「どんな法則で並び替えたらいいんだ?」
「……た、確かに…」
「これに4は使えそうもありませんね」
言乃の言葉に二人はハッとする。
そうだ、もっと直接的なヒントがあるじゃないか!
『前後に4ずらせばいいだろうがな』
「「4ずらせばいいんだ!!」」
「どのように?」
素朴な声に、二人は固まる。
前後ってなんだ?
何の前後なの?
4は一体――?
「とりあえず、やってみましょうか。先程話したい言ったことは、作業しながらお話します」