空耳此方-ソラミミコナタ-

「そのまま高山は5年前から島に身を潜め、時が経つのを待った」

「5年って……まさか!」

「「時効!?」」

高橋と朋恵がハッとして高山を振り返ると、高山は体を折って高く笑いだした。


「ククク……ハッハハハハハ!! 遅いんだよ!! 今さら気づいてもな!」

「………」

本性を表した。
羽田は目を見開いたまま、表情がみるみる険しくなる。
それがさも面白いと言うように高山は笑い飛ばした。

「それがどうしたという!? 疑いもしないお前が悪いんだよ!!」

「…クソッ……クソォォオ!!」

「クククッ、ハハハハハハ!!」

「………そこまでだ」

「あァ?」

項垂れる羽田との間に炯斗が立つ。
炯斗は高山を睨む。
その体からは冷たく、近寄り難い怒りが発せられていた。

冷たいのに、熱く熱く燃えている。

「てめえが羽田さんを責める資格はねぇよ」

炯斗は高山の手を掴む。

「離せよクソガキ」

「嫌だね」

「……何だと?――グッ!」

高山が痛みに顔をしかめる。
だが炯斗は込めた力を一切緩めずに、目を鋭く細める。

「てめえみたいな臆病者、二度と逃がすかよ」


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