空耳此方-ソラミミコナタ-
五叉路とトンネル
刑事が宇佐目の話を聞き終わると、言乃は彼女に携帯を見せた。
彼女は目を丸くし、言乃をまじまじと見つめる。
それから困ったように視線を外すと、炯斗と目が合った。
刑事はつかつかと炯斗に歩み寄り囁いた。
「あの子なんなの?」
「なんなのって女の子じゃないッスか」
刑事が炯斗を睨むと炯斗はあわてて言い直した。
「ぶっちゃけ俺もそんなに知らないんスよ、知り合ったばっかしで」
刑事は怪訝な目で炯斗を見る。