空耳此方-ソラミミコナタ-
左手の二本の道の間に一本、そしてちょうど向かい側辺りにも一本、鏡がある。
向かい側の鏡は、前回の事故から直ってないのか支柱がひしゃげ、あらぬ方向を向いていた。
「!」
炯斗はなんともなしに鏡を見たつもりだったが、そこであることに気がつく。
鏡が両方ともトンネルを向いて立っている。
おまけに角度の案配で炯斗側の鏡に写ったものが同時に向かい側の鏡にも映る。
「そか!
ことのんの携帯が飛んだ時に見えたのは、反対側に映ったことのんの携帯だったのか!」
炯斗は大きく頷き納得する。
『それだけじゃないかもよ?』