空耳此方-ソラミミコナタ-
炯斗は振り返り、辺りを見渡す。
しかし姿はない。
声の姿はおろか、通行人や車の影すらも見当たらない。
「クソッ!どうなってる!?」
『ホントに携帯が見えたの?あんな小さいものが反対側の鏡に映ったの何て見える?』
声はフフッと笑い、炯斗の頭上を回る。
ゾクッと寒気が走り、冷や汗が体を伝う。
「なんなんだよ!昨日も今日も」
『だってさ、君たちがあいつを庇うんだもん』
「は!? それってどういう―」
『くぅっ!?』