空耳此方-ソラミミコナタ-
短い“声”の悲鳴。
「!?……聞こえなくなった…?」
炯斗はもう一度辺りを見渡す。
すると、すぐ後ろから言乃が出てきた。
【お待たせしました。】
「いや全然!」
【今日お呼びしたのは他でもありません。
付き合って頂いた理由をお話しようと思ってのことです】
炯斗はゴクリと唾を飲み込んだ。
変わらず、辺りは静寂が支配している。
何かが始まる気がして、身を固くする。
【でも、もうちょっと待ってください】
「まだかい!」
ズコッとコケながら突っ込むと、言乃はいたずらっぽく笑った。