空耳此方-ソラミミコナタ-
【その通りです。
となれば手段は一つ。
車を避けることです。】
「そして止まりきれずに右に旋回し突っ込んだ、と。
でもスピードのことは証言にはなかったわよ?」
【それは恐らく運転手が言わなかっただけでしょう】
「なんですって!?」
朋恵の眉間のシワが一気に深まり、言乃に詰め寄る。
【運転手は事故の上にスピード違反という上乗せを嫌がったのでしょうね。
しかし、違反とはいっても運転手にとってあのスピードは“普段通り”。 だからそのまま証言したのです】