空耳此方-ソラミミコナタ-
なるほどこの状態の中、暗いトンネル、ましてや節電対策で更に暗いところから出てくれば目も眩もう。
そして運転手が慌てた結果――
「なるほどね…つまりはいくつもの偶然が重なって起きた事故という訳ね」
【えぇ】
言乃が眉尻を下げ頷いた。
「ほん……ぜん…じゃ…け、ど」
「!」
またあの声?
炯斗はさっと周りを見る。
が、やはり何もなってはいない。
「じゃあ、私は署に戻って報告するわ。
あんな危ない鏡、早く取っ払ってもらわないと」