空耳此方-ソラミミコナタ-
「それが、宇佐目さんの『狙われた』ということなんです」

『あいつがやったんだ!』

少年が叫ぶ。
その声に、炯斗は聞き覚えがあった。

「お前…ッ、昨日とさっきの!」

『そうだよ!僕さ!
お前ら皆あいつを庇って!』

少年が炯斗に掴みかかった。

「わっ…待て!」

炯斗が抑えようとするが、その手は少年の体をすり抜けた。
抵抗もむなしく、炯斗の首だけが絞まる。

「『縛』!」

『くっ!』

言乃の声が響くと、少年の手が後ろ手にまとまり、バランスを崩し少年は転がった。

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