空耳此方-ソラミミコナタ-
苦労するよ、と炯斗は苦笑する。
その間言乃は携帯にアドレスを登録している。
少しして、言乃が手を止めて炯斗をみる。
ん?と言乃をみる炯斗。
そして言乃はこれ以上ないくらい真剣な顔で言った。
「やっぱり一回で出ないので、携帯で会話するときカタカナでもいいですか?」
「………うん。いいよ」
炯斗は少し遠い目をしながら頷くと、そのまま項垂れて改札に入る。
「えっ、何か悪いことしました?
ちょっと、待ってください!」
その炯斗を不思議そうに見つめ、言乃も慌てて炯斗を追いかけて行った。