空耳此方-ソラミミコナタ-
あれから1ヶ月。
それなりに静かな日々が続いていた。
しかし、そのささやかな沈黙は突然破れ去った。
文字通り、とある人物の大声によって。
言乃が大学のゼミを終えて荷物をまとめていた時だ。
突然、バンッという大きな音を立ててドアが開き、叫びと長身の男がなだれこんだ。
「ことのんンンッ!?
どういうことさコレェッ!!」
「………はい?」
言乃は息を荒く怒鳴る炯斗をポカンと見つめる。