空耳此方-ソラミミコナタ-
炯斗は机をバンッと叩く。
「あの日ことのんと別れてからだ!
俺の眼になんか変なもんが見えるんだけど!?」
「変なもの?例えば、どのようなものでしょうか?」
「そんなん、思い出すのも…」
炯斗は若干顔を青くし、ブルッと身震いした。
「小さい子だったり大人だったり服は季節感ないのから様々だしなんか血っぽいのついてるやついるし――」
「あぁ、それは幽霊ですね」
言乃の言葉で、炯斗の動きがピタリと止まった。
そして首のまわりにくい人形のようにカタカタと言乃を見る。
さらに青ざめ炯斗は呟くように問いかけた。
「マジ…?……やっぱり?」