空耳此方-ソラミミコナタ-
彼女の黒い透き通った瞳は真剣そのもの。
とりあえず、宇佐目とは太った相方だ。
いや、確かそんな名前だったはずだ―と男が考えようとすると、彼女はまた携帯の画面を鼻先に突き付けた。
【あの、違ってもいいんです!
もうお帰りになられるなら明日にでも、私に付き合って頂けませんか?】
読み進めるうちに男の口は綻んだ。
マジ?俺デートに誘われた?
その時、男の携帯が鳴った。
ちょっと待ってと手で彼女に伝え、電話に出る。
「はい、俺」
「日奈山くんッ!?一体キミは何をしてるんだ?」